新渡戸稲造の『武士道』をはじめ、綱島梁川、九鬼周造、沢辺琢磨などを手掛かりに、近代日本のキリスト教をめぐる思想を見つめつつ、日本人の心性を読み解き、社会に与えた影響を探る。
【監修】
加藤信朗(かとう・しんろう)
1926年生まれ。首都大学東京名誉教授。聖心女子大学キリスト教文化研究所所員。専攻はギリシャ哲学、教父哲学。著書『初期プラトン哲学』『ギリシャ哲学史』(共に東京大学出版会)、『アウグスティヌス「告白録」講義』(知泉書館)〔最新刊刊行当時〕
【編者】
鶴岡賀雄、加藤和哉、小林 剛
福音が日本で花開くために、その精神的土壌をありのままに見つめ、考える一冊。新渡戸『武士道』などを手がかりに、キリスト教への響鳴、または反撥に焦点をあてつつ、日本人の心性を読み解きます。本書は2001年1月から開催されている「オリエンス・セミナー」での発表にもとづき、まとめたものです。
序 オリエンス・セミナーの歩みを顧みて (加藤信朗)
第1部 新渡戸稲造『武士道』再読
第1章 『武士道』について――その多面性と自己相克 (加藤信朗)
第2章 『武士道』執筆の背景と真の意図 (加藤和哉)
第3章 旧約としての武士道――新渡戸稲造と内村鑑三 (田中 裕)
第4章 新渡戸文献の神学的検討 (ジョセフ・S・オリリー)
第2部 思想家たちの応答
第5章 綱島梁川の神秘主義とキリスト教 (鶴岡賀雄)
第6章 井上哲次郎の「日本主義的哲学」とキリスト教批判 (渡部 清)
第7章 九鬼周造の宗教観とニヒリズム――その二元的緊張関係 (田中久文)
第8章 沢辺琢磨と士族層のキリスト教受容 (小川早百合)
第9章 森有正の「経験」思想における信仰――神経験と神の定義 (釘宮明美)
第3部 キリスト教の文化内受容
第10章 明治期の西洋音楽の受容 (黒川京子)
第11章 合気道とキリスト教――歴史的つながりと思想的つながり (小林 剛)
第12章 イグナチオの霊性と教育現場 (田島正城)
第13章 近代日本とキリスト教との接点 (ムケンゲシャイ・マタタ)
あとがき (ムケンゲシャイ・マタタ)
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