チャプレンとして病院に勤務する牧師が病棟で出会い、寄り添った人たちの忘れがたい言葉やまなざし。それらは今も心の中で響き、生き続けている。一人ひとりとのかかわりの中で永遠のいのちを見つめる希望の書。誰もがいずれ向き合う別れのために、一人でも多くの方々に届けたい一冊。
大野高志(おおの・たかし) 日本基督教団牧師。1975年生まれ。社会福祉法人日本医療伝道会(衣笠病院グループ・横須賀市)チャプレン。〔最新刊刊行当時〕 |
著者、大野高志師は日本基督教団牧師、独ケルン・ボン日本語キリスト教会牧師を経て、臨床スピリチュアルケア師、臨床傾聴士として、2007年から現在まで、横須賀市にある衣笠病院グループチャプレン室長を務める。緩和ケア病棟や特別養護老人ホームを巡回し、患者に寄り添い、傾聴を続けてきた。著者にとっての病棟は、ベッドのかたわらに寄り添った数多くの人々(多くはすでに世を去った方々)やそのご家族らとの忘れがたい思い出が積み重なっていく空間でもある。そこでの牧師自身の学び、気づきや、受け入れられること、通じ合うことの喜びは、言葉を交わすこともできなかった多くのつらい思い出や悲しい別れの記憶とともに、今も心の中で息づいている。つらい病の向こう側にある、かかわりあいの記憶の中で生き続ける数々の言葉は、読む者を永遠のいのちの世界へと導いてくれるであろう。医療・介護、または宗教関係者だけでなく、誰しもがいずれ向き合う大切な人々との別れの時のために、一人でも多くの方々に届けたい一冊である。
以下のメディアで紹介されました。はじめに
1 語りやむときに届く言葉
2 死んでも生きるいのち
3 傷に触れる
4 分かち合う喜び
5 自分に死んで
6 心を高く上げよ
7 客人(まれびと)との出会い
8 着込んだ重み
9 言葉を取り戻す
10 たとえ倒れても
11 闇の中の光
12 小さな生活者たちに
13 光あれ、完全たれ
14 語り続けるいのち
15 鎧を脱いで
16 嵐のあとの時のために
17 悲しみの中でゆるされて
18 別れの向こうを見つめて
19 それでも生きてきたから
20 傷ついた葦を生かす
21 時には座り込むことから
22 地で立ち上がるための賛美
23 木から降りてみたら
24 この世のものはこの世に置いて
25 時と時期
26 ない中に見つかるもの
27 今日を生きるために
28 哀しみからの求め
29 感謝の相手
30 一人を思って天につなぐ
31 届かぬ思い
32 任せること、任せられること
33 かたわらにいた私
補遺 弱さで結ばれる実り
あとがき