【最新刊】「信仰の世界」へのエクソダス●現代に生きる人のためのキリスト教入門 吉池好高著
現代人にとって救いとは何か? 旧約聖書の天地創造や、出エジプト(エクソダス)の出来事によって人々を過酷な現実から救い出した神は、新約聖書でイエス・キリストが「父」と呼んだ方でした。カトリック教会の信仰をはじめから丁寧に解説します。
(2024年11月1日発売・先行販売中)
商品番号:124-1
ISBN978-4-87232-124-1
A5判・並製・256頁
2024年 初版発行
定価: 2,200円(税込)
著者の紹介
吉池好高
カトリック東京教区司祭。
1941年長野県生まれ、1970年司祭叙階。著書に『みことばに聴く 主日の福音説教集』(教友社、2022年)、『ミサの鑑賞――感謝の祭儀をささげるために』(オリエンス宗教研究所、2018年)、訳書に『使徒的勧告
愛のよろこび』(教皇フランシスコ著、吉池好高訳、カトリック中央協議会、2017年)、絵本として『クリスマスのインタビュ―』(作:吉池好高、絵:土屋
富士夫、女子パウロ会、2003年)などがある。
内容の紹介
旧約から新約時代まで続く聖書の「信仰の世界」を分かりやすく解説。長年、多くのカトリック司祭を育ててきた老師が信仰を求める人をやさしく導きます。
はじめに、カトリック教会が信じている信仰箇条(使徒信条、ニケア・コンスタンチノープル信条)を見つめ、それが聖書とどのような関係があるのか、キリスト教とは何かを、初めて学ぶ方にも分かりやすく説明します。続いて、旧約聖書の創世記から始めて、出エジプト記、申命記と順に進めていきながら、私たちにとって「神」とはどのような方なのか、現代に生きる私たちに至るまでの神との深い結び付きを探っていきます。
本書は、キリスト教の核心をつかみ、旧約聖書と新約聖書が、具体的にどのように関係しているかを理解するための幅広い方々向けの内容となっています。また、生涯養成グループでの学び直しのテキストとしても是非ご活用ください。
推薦のことば
「著者である吉池神父様はわたしが司祭職を志したとき、麻布教会主任司祭としてわたしを東京教区に推薦してくださいました。さらに神学生時代には司祭養成のモデラトールとし、出来の悪い神学生だったわたしを温かく見守ってもくださいました。わたしにとっての大恩人ですが、今もなおその恩に応えることができずにいます。かえって、吉池神父様は小教区の主任司祭を引退なさってからも、わたしが関口教会の主任司祭であったとき、信徒の皆さんへの聖書講座を通して、共同体をかたちづくっていくためのサポートを惜しみなくしてくださいました。吉池神父様の物静かな声のなかに溢れ出す、御言葉に対するパッションは、それを聞く者に、神からの慰めと支えが与えられていることを悟らせてくれるものです。(中略)
本書は、聞き手にすぎなかったわたしが、語り手としてのわたしたちへと変容を遂げていくためのプロセスを、聖書を源泉として明解に示したものではないでしょうか。これは吉池神父様個人の類いまれな能力と、長年、教会の司祭職を果たし続ける御言葉への奉仕(ミッション)が具体的な形になって現れたものなのです。これからも、ひとりの信仰者として培われた信仰の感覚のなかで語りかける吉池神父様を通して、そして本書を通じて、多くの方の心に御言葉が届きますように」(天本昭好「聞き手から語り手への変容――推薦のことば」本書より)
目 次
推薦のことば
はじめに
「使徒信条」
「ニケア・コンスタンチノープル信条」
第1章 キリスト教が伝えようとする「信仰の世界」
1.神と出会う場/2.「天地の創造主」である神と私たち/3.「創造主である神」への信仰の起源 ●旧約聖書/4.「全能の父である神」を信じます ●新約聖書/5.主の祈り
第2章 創世記にみる「信仰の世界」
1.神と世界、イスラエルの民 旧約聖書の世界理解/2.「創造物語」の位置づけ/3.アブラハムを呼び出す神/4.「創世記」の視野の中で/5.創世記12章の位置づけ/6.アブラハム以前/7.神に創造された人間の現実――楽園を追われた者たち
第3章 「善悪の知識の木の実」の意味
1.人間の本質についての洞察 ① 原罪――神への反逆と離反の物語 ② 根源的な倒錯―「創造主である神からの離反」 ③ 「誘惑者」――蛇が意
味すること/2.「神の子」と「根源的な誘惑者」/3.「罪」の本質――神 が与えた「掟」からの逸脱/4.人間の自由――「自主的な選択」ができる存在/5.神と人間との「愛のドラマ」
第4章 出エジプト記にみる「信仰の世界」
1.人間からの自由な愛の応答を求める神/2.自らの意志で「掟」に従う存在/3.絶滅を狙うエジプトからの脱出(エクソダス)/4.「救出」され「脱出」する神の民/5.モーセを呼び出す神/6.モーセに自らを示す神/7.アブラハムとモーセ/8.モーセに示された「神の名」/9.神の主権の現れとしての出エジプト
第5章 シナイへの旅・神の救い
1.神への信仰によって脱出できたのか/2.行く手に待ち受けていたもの/3.常に新たにされる記念/4.シナイへの旅で耐え切れなくなる人々/5.二つの奇跡物語/6.荒れ野の旅の真の目的/7.シナイ山における神の顕現
第6章 神との契約
1.シナイ山における神の顕現/2.「契約」ということ/3.圧倒的な神の顕現/4.神が求めておられる契約の条項/5.あなた」と呼びかけてくださる神/6.神のみ前に立つ一個の人間
第7章 神が求めておられること・十戒のことば
1.イスラエルの「主」となってくださる神/2.主の名をみだりに唱えてはならない/3.安息日を心に留め、これを聖別せよ/4.安息日は神にささげられた日/5.あなたの父母を敬え/6.世代を超える永遠の契約/7.新たな創造の世界の中で/8.敵を愛せ/9.「契約の書」の持つ意味
第8章 契約締結と神の民の誕生
1.契約締結の儀式/2.モーセに示された神の指示/3.幕屋の中心に据えられる箱/4.「幕屋」に仕える祭司・アロンとその子ら/5.神との出会いの場としての聖所/6.イスラエルの人々の信仰の中心/7.信仰の歴史/8.金の若い雄牛/9.神の怒りとモーセの嘆願/10.神のゆるしと幕屋の建設/11.イスラエルにおける神の場
第9章 聖なる者となりなさい――レビ記・民数記
1.祭司の王国の祭儀/2.祝福と呪い/3.人口調査を終えて/4.繰り返される不平と反抗/5.四十年間の宣告/6.メリバの泉で
第10章 申命記のいましめ
1.モアブの地を前にして/2.イスラエルに対する主の愛/3.主の契約と警告/4.主への反抗とゆるし/5.繰り返される主の諭し/6.モーセへの最後の指示/7.モーセの最期/8.旧約聖書による神の啓示/9.キリスト教の救い
第11章 約束の地へ――ヨシュア記・士師記
1.ヨルダン川を渡って/2.約束の地に入ったイスラエル/3.エリコの攻略/4.アカンの罪/5.イスラエルの各部族に割り当てられた土地/6.死を前にしたヨシュアのことば/7.シケムでの契約/8.士師たちの活躍/9.士師たちの時代の終焉
第12章 王国の黎明期――サムエル記
1.サムエル記に沿って/2.サムエルを呼ばれる神/3.神の人サムエル/4.王サウル/5.王となったサウルとサムエル/6.王位から退けられるサウル/7.油注がれるダビデ/8.ダビデ、ゴリアテを討つ/9.イスラエルの王ダビデとエルサレム/10.ダビデに見る罪と罰
第13章 イスラエル王国の分裂とバビロン捕囚――列王記
1.ソロモンの治世/2.ソロモンの背信/3.預言者アヒヤ/4.王国の分裂/5.ヤロブアムの背信/6.預言者エリヤとエリシャの登場/7.捕囚となった人々
第14章 新約へと続く旧約聖書からの信仰
1.シナイ契約とキリスト教の信仰/2.創造主と神の民/3.罪と救い/4.聖霊とマリア/5.「福音」の意味/6.マルコ福音書の役割/7.マタイ福音書と「ダビデの子」/8.創世記とマルコ福音書の「鳩」
第15章 旧約の十二部族と新約の十二使徒
1.イエスの活動開始/2.イエスご自身の祈り/3.神の主権による輝き/4.旧約から続く十二使徒の意味/5.神の約束とイスラエルの十二部族/6.新しい契約の民として/7.「新しい天と新しい地」
第16章 聖霊である神
1.復活の主の息吹を受けて/2.罪を赦す権能/3.聖霊降臨/4.バベルの塔からの再創造/5.別れのみことば/6.真理の霊/7.父が持っておられるもの/8.聖霊の働き/9.聖霊の続唱
第17章 聖霊とわたしたち
1.聖霊信仰の意味/2.いのちあるものとしての人間の誕生/3.一人の人への神の呼びかけ/4.キリストの宣言/5.出会いの経験/6.弟子として生きる恵み/7.キリストの奉献と罪のゆるし
第18章 神の歴史への介入
1.歴史に介入する神/2.神の選び/3.全人類への祝福としてのアダム/4.信仰告白/5.イスラエルの民の王/6.王である神/7.ダビデの子/8.メルキゼデクの祝福の意味/9.王であるキリスト
第19章 キリスト教信仰の核心
1.聖書を理解する方法/2.聖書の手引きを求めた宦官/3.ローマ・カトリックの一致のしるし/4.復活の主イエス・キリストとの出会い/5.信仰の核としての神の愛/6.ミサを通して初代教会から現代へ/7.福音の実りは絆の祈りの中で/8.ヨハネ福音書「みことば賛歌」
おわりに