教皇フランシスコは昨年から七月の第四日曜日を「祖父母と高齢者のための世界祈願日」と定められました。今年で2回目となります。新型コロナウイルスの影響で、人と関わる機会が減り、孤独の内に過ごされる方が増えている現状を鑑みて、教皇フランシスコはイエス・キリストが弟子たちに伝えられた言葉をわたしたちに繰り返し伝えられています。「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(マタイ28・20)。 六十五歳以上を高齢者としたとき、日本の高齢者は人口の二十八%以上を占めています。ある日テレビ番組で、介護職や看護職の仕事の大変さ、また、若者たちがどのように高齢者を支えていくか、といった問題が報じられていました。今の日本、そしてこれからの日本では若者たちの支えは大切だと思いますが、今日の祈りの日に際し、若者たちに対しての高齢者の支えという側面を見つめ直したいと思います。 ここで、個人的な体験を紹介させていただきます。十代の頃、ある方々とタケノコ掘りをする機会がありました。ひとつのタケノコに挑戦していた私ですが、何度クワを地面に叩きつけても上手くいきません。すると腰の曲がったおばあさんが手助けしようとしてくれました。しかし、私は「自分が上手くいかなかったから(おばあさんにも)できないだろう」と傲慢にも考えてしまいました。ところが、そのおばあさんはクワの一振りでタケノコを掘り出したのです。その瞬間、私は目からうろこが落ちるという感覚を初めて体験しました。 この出来事で、自分自身の心と体の弱さを知り、同時にご年配の方の心と体の強さを知ることができました。その後に食べたタケノコの味はそれまで食べてきたどんなものよりも美味しいもので、今でも忘れられない味となっております。 どうかこの日が若者にとって高齢者への感謝を捧げる日となりますように。また、高齢者にとって神様とともにおられることを感じ、力づけられる日となりますように。(『聖書と典礼』2022年7月17日より) 『聖書と典礼』年間第16主日 (2022年7月17日)表紙絵解説 |