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コラム

コラム一覧へ 愛に根ざした平和――日本カトリック平和旬間(8月6日~15日)

成井大介(新潟教区・カリタスジャパン担当司教)
 「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない」(ヨハネ14・27)。キリストは、力ではなく愛によって平和を与えました。教会は、このキリストの平和を世界中で生きています。ここでは、これまでさまざまな国を回って出会った、紛争に巻き込まれた人々のことを少しだけ分かち合わせてください。すべて二十一世紀の出来事です。
 戦場に行った息子が人間性を無くしていくことに泣く母。家族を殺された人。夜中にお産の手伝いのために救急車で出かけて行き、帰りに銃撃されて殺されたシスター。教会で、目の前で村人を殺され、トラウマを抱えながら司牧を続ける司祭。散り散りに逃げていった信徒と隣国の難民キャンプで再会し、そのまま難民キャンプで司牧や子どもたちの教育活動を続ける宣教師。何年経っても第三国に行くことができずに難民キャンプにとどまる人々の心に希望の光を灯そうとする宣教者。
 内戦が終わったある国では、敵同士であった民族の人々がともにミサに参加します。教会、修道院、関連団体は、ともに祈り、泣き、死者を埋葬し、なんとか物資を確保、分配し、医療活動をし、難民を受け入れ、親を殺された子どもたちのための養護施設を運営しています。
 戦闘の最中や後にやってくる大きな国際援助団体が、物資の配布や医療支援などを行う目的で、教会や修道院を会場として使うために借りにくることがよくあります。実は緊急時に物資を配るのは非常に難しいことで、そのために争いが起こり、人が殺されることもあります。教会はもともと地域の一部であり、地域の人々との信頼関係があるので、支援を比較的スムーズに行うことができるのです。
 世界中の教会共同体は、ブドウの木の枝のようにキリストによって互いにつながっています。あなたの共同体の、愛に根ざした祈りや、地域で行う小さな活動、そして遠くの人のためのささやかな支援は、確実に世界を平和にしているのです。(『聖書と典礼』2022年7月31日より)

『聖書と典礼』年間第18主日 (2022年7月31日)表紙絵解説

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