沖縄戦を体験したおばぁが言いました。「空襲はまず飛行場や港から始まり、その後全てを焼き尽くした。軍の基地や施設は最初の攻撃の的、その周辺はすべて破壊される。今も昔もこの先もなーんも変わらんのに、何で分からんかね~」 その言葉通り、ウクライナやパレスチナなどでは武器こそが多くの命を傷つけ、死を招いています。始めてしまえばどんな状態になっても、どちらかの兵器、兵力が尽きるまで終わることはないのが戦争。国連でさえも、容易には解決策を見いだせないことがそれを証明しています。 しかし、こうした状況を解決する手立てが一つだけあります。それは徹底した非暴力の理念による武器の廃絶です。でも、それは不可能だと考えますか? 実は近世において琉球王国は、非武装の国を実現したと言われています。その精神を世界に広めるのです。 近年、やっとさまざまなハラスメントの害悪が理解され、その対策がようやく一般化しはじめました。それまでは、いわゆる「愛の鞭」の暴力は黙認されていたかのようでしたが、今では、どのようなかたちであっても暴力は許されないという共通認識が生まれ、言葉や態度による暴力も許されなくなったのです。これは驚くべき変容です。 今日の福音では、人の子イエスが人間のまま神の姿に変容したことが示されました。私たちにも自分自身を神の似姿として輝かせる力と使命が与えられ、自身と社会を変容するための権利が与えられています。 ただし、ご変容の後にイエスがたどった道は、徹底した非暴力による十字架の道行きでした。徹底した非暴力と非武装を選択することには、必ず痛みや苦難が伴いますが、それでも、その険しい道は必ずや復活の命の輝きにつながっているのです。 平和は、まず人の心から始まります。イエスが貫いた非暴力を願い求めましょう。そして、「彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」(イザヤ2・4)とある通り、武器の廃棄に努めましょう。沖縄からの呼びかけに耳を傾けて、戦争への備えをすべて取り止めましょう。 『聖書と典礼』四旬節第2主日 B年(2024年2月25日)表紙絵解説 |