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コラム

コラム一覧へ 小さなからし種の活動から

神垣しおり(ノートルダム清心中・高等学校校長補佐 広島教区信徒)
 「行ってくる。あとをたのむね」。一九九五年二月、広島からパレスチナ支援に旅立った友人の水本敏子さん(広島教区信徒)から託された後方支援は、手探りで始まりました。時折、現地から送られる写真の中で、印象的だったのは、巨大なからし種の木です。小さな種から成長して大きな枝を張る神の国というたとえ話は、約三十年の活動を経た今、心に染み入ります。
 当初、私たちを支えてくださったのは、これまで何かと面倒をみてくださった神父さまやシスター方、日曜学校教師会や中国ブロックカトリック高校生大会(中ブロ)でつながった仲間たちでした。敏子さんは、やがて、ヨルダン川西岸地区イドナ村の女性たち(イスラム教徒)と出会い、女性協同組合を結成。パレスチナの伝統的刺繍を活かした製品制作・販売を通して経済的自立を目指してきました。
 現在、私たちは、広島の市民活動グループ「サラーム(パレスチナの女性を支援する会)」として、製品を各地の教会バザーや国際協力イベントなどで販売しています。このフェアトレード支援の輪は、現地報告会、地域や学校での講座などを通して広がり続け、まさに「土はひとりでに実を結ばせる」(マルコ4・28)という神さまの愛も味わっています。とはいえ、現地の厳しい状況は続き、さらにコロナ禍の苦しみと重なりました。加えて、敏子さんの帰国や新たな販路開拓の矢先、ガザ攻撃以後、西岸地区の状況も封鎖や混乱が続き、心を痛める中、問いあわせも増えている状態です。ガザ地区への緊急医療支援の呼びかけも行い、多くのご協力をいただきました。
 自分自身、現地を想像しながらみことばをかみしめ、女性たちの敬虔な信仰心に心を寄せる日々です。苦労して届く、洗練された美しい製品は、私たちの心を照らしてくれます。真剣に重い課題を受けとめようとする生徒たちの姿にも励まされながら、平和と豊かな実りを祈り続けてまいります。
『聖書と典礼』年間第11主日 C年(2024年6月16日)表紙絵解説

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