この度の教皇レオ十四世の就任に際し、短期間のコンクラーベ(教皇選挙)において、多くのマスメディアの予測に挙がっていなかった方が選ばれ、福音宣教の目的が果たされたことを神に感謝し、心よりお慶び申し上げます。 一般的なマスメディアは、アメリカ合衆国イノリイ州シカゴ生まれのロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69歳)がローマ・カトリック教会の第267代教皇に選ばれたと聞いて、最初のニュース記事(コンテンツ)の作成に苦労したのだそうです。 コンクラーベの開催の直前には、人気のある枢機卿のリストには入っていませんでしたし、枢機卿としても二年間の経験しか持っていませんでした。彼が当選する可能性はわずかだと考えられていたようです。しかし、マスメディアが忘れていた多くのことの一つは、彼が聖アウグスチノ修道会の宣教師としてペルーで長く働き、その地の司教として、さらに、教皇庁司教省長官、同ラテン・アメリカ委員会委員長などの重責も担い、多くの人々からの信頼に基づいた強力な国際的ネットワークを持っていた点です。 帰天された教皇フランシスコによって、2023年に助祭枢機卿として親任され、2025年2月には、同教皇により司教枢機卿に親任されたレオ十四世は、これから教会内および世界で、より多くの課題に直面することになるでしょう(※注記参照)。 ご承知のように教皇フランシスコは、戦争や不平等、社会的不公正、人身売買、貧しい人々からの搾取に苦しめられている世界で、すべての犠牲者の擁護者として立ち、不当な戦争と移民の大量強制送還の終結を呼びかけました。新教皇レオ十四世においても、脆弱な人々に影響を与える、さまざまな社会問題に関する教皇フランシスコの従来の姿勢に沿って歩んでいかれるはずです。 そして、新教皇がレオという名前を選んだということは無作為の選択ではないと思います。それは恐らく、教皇レオ十三世の最も有名な社会回勅『レールム・ノヴァールム(Rerum Novarum/ラテン語で「新しき事がらについて」)』に関連しており、社会の周縁にいる人々の側に立つという明確で巧みなメッセージが込められていると感じるからです。 「教会は、橋をかけ、対話しなければなりません。腕を広げたこの広場のように、人々を受け入れるために常に開かれていなければなりません」(「新教皇レオ十四世の最初の祝福」カトリック中央協議会)。 新教皇によるローマと全世界に向けた就任直後の挨拶(最初の祝福「ローマと全世界へ(Urbi et orbi)」が行われる)でも、前任者の包括的な精神に敬意を表し、架け橋と対話を築く教会の重要性を強調しました。こうして、ローマ・カトリック教会のリーダーは、あらためて世界の平和を提唱し、前任の教皇職が進めてきた広範な推進力を維持することを明確に示したのです。 オリエンス宗教研究所におきましても、現代世界の宗教が多様化している現状に即し、新教皇の「架け橋と対話を築く」というビジョンに心も新たに協力をしてまいります。今後とも宗教間対話を大切にしながら、ともに歩んでいけるよう、皆さまからのご支援、ご協力を何卒よろしくお願いいたします。 ※注記 枢機卿とは?(カトリック中央協議会HPより) |