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コラム

天国に一人で行ってはいけませんコラム一覧へ

吉成麻子(ファミリーホーム吉成・東京教区信徒)
 「社会的養護」という言葉は皆様にとってあまり馴染みのないものかと思います。実際に私自身が十八年前に養育里親に登録した際にも初めて聞く言葉でした。
 保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことで、子どもの最善の利益のために社会全体で子どもを育むことを理念として行われています。
 具体的には現在我が国では親が育てられない子ども(〇~十八歳)が四万五千人ほどいて、その八割が児童養護施設などの施設で、残りの二割が里親・ファミリーホームなどの家庭で代替養育されています。
 第二次世界大戦後、戦災孤児の救済を目的としてスタートした日本の社会的養護は、キリスト教の宣教師や仏教のお寺、地元の篤志家などが中心となって、衣食住を満たすことを重点に運営される施設養護が主流でした。しかしながら、保護される子どもたちの特性が変遷し、親がいても何らかのかたちの虐待を受けている子ども、知的および精神的な発達の遅れがある子どもが相当数いるようになってきています。国の方針としても、できる限り家庭的な養育環境で、特定の大人との継続的な愛着関係を構築することが望ましいとの観点から、欧米のような里親制度への移行を目指しています。
 我が家で暮らしている三~十歳の子どもには、六人のうち三人の実母さんに知的障がいがあり、自身の発達にも遅滞が見られます。二人は乳児院から三歳近くなってうちに来ました。二人は新生児の時からうちで育っています。どの子どももそれぞれの悩みや課題があり、一部は実の家庭に復帰させることもあり、寂しさも伴います。
 とはいえ、子どもの成長を間近で見て、家族、地域の学校、幼稚園や小児科医院、近所の方々など大勢の協力のもと、日々希望を持って過ごせることは、幼いころからカトリック校で学んだ「天国に一人で行ってはいけません」(聖マグダレナ・ソフィア)という教えにも添う充実した毎日で、感謝しております。
(『聖書と典礼』2020年07月05日より)

『聖書と典礼』年間第14主日 A年(2020年07月05日)表紙絵解説

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