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コラム

すべてのいのちを守るための月間コラム一覧へ (九月一日―十月四日)

大塚喜(よし)(なお)(カトリック中央協議会事務局担当司教)
 きょうは、東方正教会にならって教皇フランシスコが制定した「被造物を大切にする世界祈願日」です。そして本年は、同教皇の回勅『ラウダート・シ――ともに暮らす家を大切に』発表五周年にあたり、来年の五月二十四日まで、カトリック教会は環境問題について考える特別年を過ごしています。
 そこで日本の司教団は、昨年の教皇来日のメッセージ『すべてのいのちを守るため』に応え、毎年九月一日から十月四日(アシジの聖フランシスコの記念日)までを、「すべてのいのちを守るための月間」としました。教皇はエキュメニカルなこの期間を「被造物の時節」とし、祈りと行動の機会とするよう強く勧めています。
 教皇は『ラウダート・シ』で、地球と貧しい人々の叫びへの関心を喚起するとともに、問いかけます。「わたしたちは、後続する世代の人々に、今成長しつつある子どもたちに、どのような世界を残そうとするのでしょうか」(160)。これは地球環境に関しての問いではなく、被造物の存在意義そのもの、また社会生活の根底にある価値に対する根本的な問いかけです。
 例えば近年、海洋プラスチックごみが問題視されており、海を汚染するだけでなく、そこに住む生き物にも影響を与えています。人間の生産と消費活動によって、地球環境がいたるところで急速に侵されています。この危機を回避するために、使い捨てプラスチックの利用を減らしていくなど、日常生活で自分たちの身の回りから、地球にやさしいことを実践していかなければなりません。
 教皇の考えの基本は、「あらゆるものはつながっている」という視点です。個人も、あらゆる共同体も、教皇が呼びかける「エコロジカルな回心」を深め、ライフスタイルと日々の行動を見直し、次世代のために美の種を蒔くという創造主から託された使命を重く受け止めなければなりません。世界は今、新型コロナウイルス感染症と闘う日々を過ごしていますが、人類はこれまでの地球上での《過ごし方》を改め、新しい生活様式に向かって、待ったなしで動き出さなければならないのです。
(『聖書と典礼』2020年09月06日より)

『聖書と典礼』年間第23主日 A年(2020年09月06日)表紙絵解説

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