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コラム一覧へ 地球の日――被造物を大切にする世界祈願日

禹一〈カン ウイル〉(韓国名誉司教)
 「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ」(創世記1・28)。人類は長い間、人間が他のすべての被造物に対する絶対的な支配権を獲得し、思いのままにできると信じて疑いませんでした。しかし、神はこうも言われます。「主なる神は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた(同2・15)。
 「耕す」とは、園を美しく豊かに育てていくよう、人間は神に任された存在であること。「守る」とは、それぞれの被造物が損なわれることがないように保護し、見守り、保存することを意味します。神は人間より先に造られた各被造物をご覧になって、その都度、「良しとされた」と創世記1章は語っています。神が良しとされたとは神の肯定と祝福を意味します。造られたもの一つひとつが神のご意志に適う価値ある存在であり、人はこれらを神の御手の作品として尊重し、守り育てていく使命をいただいています(教皇フランシスコ回勅『ラウダート・シ』65参照)。
 アシジの聖フランシスコは、私たちが住んでいる大地に「母よ、姉妹よ」と呼びかけ賛美します。教皇フランシスコは、母、姉妹であるこの大地が私たち人間の限りない貪欲により蹂躙され、嘆き苦しみながらうめき声をあげていると呼びかけています。産業革命以降、先進諸国は資本主義経済を拡張するために植民地を有し、自然資源を持ち去って大量生産と大量消費を推し進め、その収益によりさらに急激な経済成長を成し遂げてきました。 
 こうして、ますますエスカレートした大量生産、消費、廃棄の仕組みは、地球全体の自然と生態系に回復不可能な深い傷と病をもたらし、今日に至っては、人類を含む地球全体の生存が危ぶまれる深刻な気候危機段階にまで到達してしまいました。私たちは自然を、人間が掘り起こして開発してくれるのを黙って待つ、倉庫か何かのように見なしてきたのでした。
 しかし地球は非常にダイナミック、かつ複雑な有機体、独自の自律性とアイデンティティーを持って生きている生命体です。私たちは今までの無知と高慢を悔い改め、自らも被造物の一員であることを謙遜に受け入れるべきではないでしょうか。そして母なる大地、森、川、動物、植物たちに心からゆるしを求め、共に歩んでいく覚悟を決めるべきではないでしょうか。
(『聖書と典礼』2021年9月5日より)

『聖書と典礼』年間第23日 B年(2021年9月5日)表紙絵解説

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