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コラム

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泉 雄生〈ゆう〉(東京教区司祭)
 隣人愛の対象は、「善いサマリア人のたとえ」(ルカ10・25-37)によれば「支援を必要とする人」です。しかしこの隣人愛を実践してみると、すぐにそれが困難であることに気づきます。善いサマリア人は、大けがをしたユダヤ人を最後まで面倒をみます。しかしこの「最後まで面倒をみる」ことが非常に難しく、隣人愛を困難なものにしています。
 私が担当する成田教会は、ミサの出席者の約半数が外国にルーツをもつ信者です。特に大きなグループであるフィリピンとペルーのグループからは、教会委員がそれぞれ二名ずつ出て、日本人と一緒に教会運営に携わっています。
 昨年、成田教会に着任してまだ間もない頃、オブザーバーとして教会委員会に参加していたスリランカ・グループの代表から、仮放免(在留を認められていない外国人が一時的に収容施設から出されること)中のスリランカ人女性の子どもが大きな手術を受けたので、それを支援するために教会で募金を呼びかけたいと提案がありました。教会委員会では三週間に限って募金を呼びかけ、六百万円以上する手術費用には遠く及びませんでしたが、それでも多額の募金が集まりました。
 この出来事から隣人愛の難しさを改めて痛感させられました。もちろん、たとえ話と現実は単純に比較できませんが、善いサマリア人は大けがをしたユダヤ人を費用も含め最後まで面倒をみました。それに対し、私たちのその子に対する関わりは十分だったのかという疑問が残ります。その一方で、他にも困っている人がいるのに、どうしてその子にだけ関わるのかという疑問も当然出て来るでしょう。教会としての支援活動の限界がそこにはあります。
 しかし、その後、スリランカ・グループの代表の尽力もあり、仮放免中の女性に奇跡的にビザが与えられ、その子どもも必要な医療が受けられるようになりました。隣人愛もまた神の摂理の中にあることに気づかされ、人の目には難しく見えても、諦めず「最後まで面倒をみる」勇気を与えられた出来事になりました。
(『聖書と典礼』2021年10月31日より)

『聖書と典礼』年間第31日 B年(2021年10月31日)表紙絵解説

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