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コラム

コラム一覧へ 無条件の愛を告げる産声に

西脇 良(神言修道会司祭)
 教会に足を運んでくださった皆さま、ようこそおいでくださいました。はじめて教会を訪れてくださった方もいらっしゃるでしょうか。どうぞ暖かくしてお過ごしください。オンラインでご参加の皆さま、それぞれの場所で、救い主のお誕生をともにお祝いし、祈りをささげておられることでしょう。
 教会に入りますと、本日の『聖書と典礼』の表紙にあるような、イエスさまのお誕生の場面を表現した「馬小屋」が飾られていることと思います。生まれたばかりのイエスさまが、この世界を受け入れてくださったその証しとして、大きな産声をあげてひとしきり泣かれ、そして泣き疲れたのでしょう、いまは可愛らしいお顔で、すやすやとねんねしておられます。
 その傍らには、救い主を養い育てよ、という神さまからの途方もない使命を、しずかに受け入れられたマリアさまとヨセフさまが、羊飼いたちとともに見守っていらっしゃいます。これが、教会が描いてきた救い主誕生の場面です。
 神さまがこの世界に救い主をお遣わしになった理由は、たった一つだと思います。それは、「だれもが無条件に愛され大切にされるため」です。愛するということに、いっさいの条件をつけない、ということです。そのためにイエスさまは産声をあげてくださいました。
 じつに、私たち人間のもっとも根源的な、生きていくための渇望は「無条件の愛」です。「いのちを与えられたからには生きるのだ」という、当たり前のことにさえ、無数の条件がついてしまうこの世界です。それでも私たちは、心の深いところで無条件の愛を渇望してきたのでした。神さまのかけがえのない子どもとして、ともに生きていきたい、と望んでいるのです。
 無条件の愛を求めることなど非常識でしょうか。いいえ、神さまは、常識を超える愛で私たちに応えてくださるのです。
 あらためて今夜、幼子イエスさまの力強いあの産声に、ご一緒に心の耳を澄ませることにいたしましょう。
 (『聖書と典礼』2021年12月25日より)

『聖書と典礼』主の降誕(夜半)(2021年12月25日)表紙絵解説

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