被爆地の思いを共有しながら、「日本カトリック平和旬間」に合わせて、ともに世界平和のために祈りと活動をささげていただき、心より感謝申し上げます。 今年五月十九日~二十一日、G7サミットが、初めて被爆地・広島で開催され、とくに核兵器廃絶に向けた国際間の取り組みにおける進展への期待が高まりました。 しかし、公表された「広島ビジョン」は、ほぼ核拡散防止条約(NPT)に基づく従来の方向性を確認する内容のものでした。決裂を避けるために、核保有国を含むG7の間で、政治的方針としての合意を形成するとすれば、ぎりぎりの内容だったのかもしれません。しかし、これで十分とはせずに、わたしたちは、核なき世界を目指していく決意を新たにし、今後のさらなる取り組みに向かう必要があると思います。 このG7サミットを機会に、教皇フランシスコは、二〇一九年十一月二十四日に広島の平和記念公園で開催された「平和のための集い」を思い起こしつつ、新たな書簡を二〇二三年五月十九日に公表してくださいました。 その書簡の中で教皇フランシスコは、「核兵器の使用は、人道的、環境的に壊滅的な影響を与えるだけでなく、その開発に関わる人的、経済的資源の浪費、および不適切な配分をも考慮しなければなりません。また、核兵器の保有がもたらす恐怖と疑念の風潮が、相互信頼と対話の風土を育むことを危うくする影響も過小評価してはなりません。核兵器やその他の大量破壊兵器は、幻想だけの平和をもたらす危険を増大します」と述べておられます。 きょうの福音で、逆風の中でおびえる弟子たちに「安心しなさい、わたしだ。恐れることはない」(マタイ14・27)と仰せになったイエスのことばに信頼し、〝幻想だけの平和〟ではなく、キリストが約束された平和(ヨハネ14・27参照)を実現するため、わたしたちにできることを、イエスとともにささげていく決意を新たにしたいと思います。(『聖書と典礼』2023年8月13日)) 『聖書と典礼』年間第19主日 (2023年8月13日)表紙絵解説 |