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コラム

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晴佐久昌英(シグニスジャパン〈カトリックメディア協議会〉顧問・東京教区司祭)
 人々に福音を最も効果的に伝えるメディアは、何だと思いますか。
 それは、「食事」です。
 えっと思うかもしれませんが、イエスからの二千年間、それは全く変わりません。活字媒体、映像メディア、インターネットと、メディアは進化してきましたが、わたしたちは食事にまさる福音的メディアをいまだ手にしていません。そもそも人類は何十万年もの間、食事という媒体で愛を伝え合い、文化を継承し、共同体を結んできたのであって、それはこれからも変わらないでしょう。
 「あなたは神に愛されている」「神の国は始まっている」という福音を、食事そのものが語っています。会食に招くことは「あなたと仲良くなりたい」ですし、だれかに食事を作ることは「あなたは大切な人だ」というメッセージです。同じ食事を分け合うことは「わたしたちは助け合う仲間だ」というしるしですし、食卓で談笑することは「あなたと一緒にいてうれしい」ということでしょう。「おいしいね」と微笑み合うとき、わたしたちは「あなたたちを愛しているよ」という神のメッセージに包まれているのではないでしょうか。
イエスが貧しい人や罪人と一緒に食事をしたとき、だれもが神の愛を知りましたし、五千人がパンを食べて満腹したとき、みんな神の国を体験したのです。イエスは弟子たちといつも一緒に食事をしていましたが、殺される前夜には最後の食事をして、「この食事はわたしそのものだ。これからもこの食事を続けなさい」という意味の遺言を残しました。それで初代教会は一緒に食事をし続けたのです。ミサは「最後の晩餐」の記念ですが、教会はまずはいうなれば「いつもの晩餐」をしなければなりません。教会とは、神の国の宴のしるしなのですから。
 筆者はそれを「一緒ごはん」と呼んで多様な食卓を実現していますが、そこには道を求める若い仲間が大勢集まってきます。食事にまさる広報なし。彼らが神の国を味わい、福音に救われていく姿を目の当たりにしながら、教会の未来は本当に明るいと感じる日々です。
『聖書と典礼』復活節第6主日 B年(2024年5月5日)表紙絵解説

晴佐久昌英著『福音家族』

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