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2023年年頭のご挨拶

信仰を生き抜いて
            オリエンス宗教研究所所長 コンスタンチノ・コンニ・カランバ

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。本年も誰一人取り残さない社会の実現に向けて、異なる文化や宗教の兄弟姉妹たちと共に、調和のとれた神の家族として歩めるようお祈り申し上げます。
 グローバル化が進展する中、平和構築、環境保護、共同体の連帯、パンデミックへの対処などの課題が山積しています。その中で、一般社会の営みの中では無視できないほど宗教的価値観の喪失が目立ちます。こうした現状の中で、それぞれが置かれた場において、それにどう向き合うべきかが問われています。今回は、現代社会における宗教の使命に焦点を絞りつつ、信仰を生き抜く戦いに目を向けてみたいと思います。
 信仰を生き抜くとは、パウロが勧めた「信仰の戦いを立派に戦い抜く」(1テモテ6・12)ことに繋がります。戦いというと軍事的なことを連想しますが、ここでは神を信じ切って走り抜くという信仰の戦いの意味です。キリスト者になったとしても、信仰の歩みを最後まで全うするのは非常に難しいことです。
 人はしばしば気楽な生活を求めがちですが、人生には苦しみがつきものです。「楽は苦の種、苦は楽の種」ということわざ通り、今の苦労は後の楽に繋がることだと教わりました。それが信仰にも当てはまります。私について来たい者は自分の十字架を背負うようにと、主イエス様は呼びかけられます。主イエスご自身が苦・死を通して救いを成し遂げられたのです。
 現代における「宗教」は、倒錯した否定的な見方に流されやすいとも言えるでしょう。そして残念ながら宗教が誤用されて、場合によっては搾取・暴力・虐待・争いなどが起こる遠因となることも確かな事実です。だからと言って宗教のすべてがだめであるかのように、世俗主義(宗教アレルギー)に陥ることは非常に危険です。
 信仰を持たなければ人生が楽になるとは限りません。逆に宗教が存在しなければ、そのような人間の愚かさ・背徳・罪への傾きに歯止めが利かなくなります。しかし、宗教は、それ自体が本来持っている社会的使命を果たすことができます。人々は信仰からあふれ出る愛、心の平安、不屈の精神、道徳の理想などをもって生きることによって、健全な社会構造が保たれ、人生と神についての不可欠な疑問に対しての答えが得られます。
 また、社会の無理解・無関心・非難などについては、信仰者自身の在り方にも問い直しが求められます。現代においては特に、真の宗教性への復権をもたらす信仰生活が要求されているのです。
 たとえ、信仰の戦いに行き詰まったり、不安、疲れを覚えたりする時においても、神さまから与えられる恵みの中に生きる認識を深めれば深めるほど、その苦難を乗り越える信仰の喜びを実感できます。実に信仰を勇敢に生き抜く秘訣はそこにあります。
 今年こそ、主イエスとしっかり結ばれ、そのみことばに強められて、平和の輪を広げながら信仰の良き戦いを共に守り抜いて参りましょう。

『聖書と典礼』神の母聖マリア(2023年1月1日)表紙絵解説
  

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