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コラム一覧へ 三位一体の神秘

(山本芳久 東京大学教授)
 「三位一体」とは、「一なる神」のうちに、父と子と聖霊という三つの「位格(ペルソナ)」があるというキリスト教の最も基本的な教義である。イエス・キリストが「神性」と「人性」を共に有すること、すなわち神であり同時に人間であることを基本的な内容とする「キリスト論」とともに、「三位一体論」は、キリスト教の最も基本的な教えとして、古代以来、受け継がれてきた。
 「神であると同時に人間である」とか、「一なる神のうちに三つの位格がある」といった、いかにもありえそうにないことが根本的な教えとして確立したという事実は重要である。キリスト教の教えのなかには、我々に違和感を与える多くの要素が含まれているのである。
 だが、そのことは、キリスト教の信頼性を揺るがすものではない。キリストの教えは、神から与えられたものであるからこそ、人間にはすぐに理解したり解読したりすることのできない多くの謎を秘めたもの(神秘)になっていると、神学者たちは考えてきた。
 神の神秘は、理性を「超えている」が、理性に「反している」わけではない。理性を超えているからこそ、理性による探求を絶えず促し続ける。そして、そうした探求は、「神」についてのみではなく、「神の像」として創造された「人間」についても様々な洞察を与えていく。
 父と子と聖霊が自立した存在でありながら永遠の一なる交わりのなかにあり続けているという神秘。それは、我々人間もまた、お互いに自立した存在でありつつも愛の深い交わりのなかにあり続けることができることのモデルとして捉えることもできると、多くの神学者たちは考えてきた。「自立性」と「関係性」とは矛盾せず、むしろ、他者との深い「関係性」のなかでこそ、真の「自立性」は存在する。一見難解な「三位一体」の教えもまた、「愛」というキリスト教の最も根本的な教えと深く繋がっているのである。
(『聖書と典礼』2020年6月7日より)

『聖書と典礼』三位一体の主日 A年(2020年6月7日)号表紙絵解説

月刊『福音宣教』2021年6月号 ◆「愛」を育む――トマス・アクィナスの感情論を手がかりに 山本芳久

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