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コラム

クリスマスがもたらす希望コラム一覧へ

吉池好高(よしたか)(東京教区司祭)
 新たないのちの誕生は時と場所を選びません。紛争や自然災害による避難先でのいのちの誕生が報じられることもあります。そのような場に立ち会った人々はどのような想いで、そのいのちを見つめたことでしょう。
 聖書に語られているクリスマスの物語も、わたしたちをそのような現場に誘います。羊飼いたちが聴いたお告げによれば、お生まれになった救い主のしるしは、布にくるまれて、飼い葉に横たえられている乳飲み子ということでした。飼い葉桶に眠る乳飲み子は、まだ救い主らしいことは何一つなさいません。けれども、その場に立ち会った人々にとってはそれで十分だったのです。飼い葉桶に眠るその子の姿が彼らの日常を忘れさせ、新たな希望で心を満たしているからです。
 布にくるまって飼い葉桶に横たえられた乳飲み子という表現は、奇異に思われるかもしれませんが、後に語られるイエスの墓の場面を連想させます。イエスの遺体が墓の中に見当たらないとの知らせを受けた弟子がそこへ行ってみると、イエスの遺体を包んでいた「亜麻布が置いてあった」(ヨハネ20・5)と語られています。
 救い主の誕生とその死とを語る聖書の記述における、イエスをくるんでいた布は、コロナ禍の中にある今のわたしたちの日々の象徴のように想えないでしょうか。全身布に巻かれたように、身動きが取れないわたしたちの今の姿のように想えないでしょうか。布にくるまれて眠る救い主、十字架から降ろされ布にくるまれて墓に横たえられた救い主(同19・40参照)は、やがて、そこから立ち上がられるのです。
 迎えたこのクリスマス、受肉の神秘と過越の神秘のうちに、わたしたちとともにいてくださる救い主への希望を新たにいたしましょう。
(『聖書と典礼』2020年12月25日より)

『聖書と典礼』主の降誕(夜半のミサ)(2020年12月25日)号表紙絵解説

吉池好高 著『ミサの鑑賞──感謝の祭儀をささげるために』

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